今月16日にNISA講座の利用状況調査が発表され、20代の口座開設数が10%以上伸びた事が話題になっていましたが、未だに60歳代〜70歳代の口座開設数の方が多く、定年された方の方が資産運用に関心がある事が分かります。
(出典:金融庁HPよりhttps://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20210716/01.pdf)
しかし、人生100年時代に入ったとはいえNISAで扱う商品で利益を出すには一般的に10年以上の時間がかかるので蓄えた資産を使いきれないリスクがあります。
そこで今回は投資をいつまでに始めれば良いか、株式投資のタイムリミットについて考えていきます。
老年期の投資の向き合い方
若いうちから株式投資を行なってきた人にとって、老年期には資産を「守り」そして「使う」事が重要です。
老年期には新たな投資資金を捻出するのが難しく、残りの人生のライフイベントにかかる費用も予想しやすくなるので、大きく資産を増やす必要がありません。
よって、老年期には株式の様なリスクの高い資産を減らして債券やゴールド、キャッシュの比率を上げる事で、資産の寿命が自身の寿命を上回るよう重視するべきです。
積み立てNISAで利益を出すのに20年かかると仮定すると少なくとも定年の20年以上前から投資を始めるのが理想ですね。
老年期の投資戦略
将来の時間があるというのが若者の特権でしたが、高齢者の特権は年金になります。
日本の老齢年金は、65歳で請求せず66〜70歳間で繰り下げて受給する事ができ、1ヶ月当たり0.7%受給できる年金を増加させる事ができる制度があります。
これを最大限に利用すると5年間で42%も受給額を増やせるので、老年期に限っては定年後5年間はこれまで貯めてきた貯金で乗り切り、年金の繰り下げ受給戦略を取るのが王道の方法だと思います。
4%ルールの紹介
インデックス投資を行う場合の取り崩し方法で有名な方法に4%ルールがあり、「株式50%、債券50%の配分」で投資して毎年引退時の資産の4%に当たる額を取り崩しても96%の確率で30年後も資産が残ります。
これは1998年にアメリカのトリニティ大学が行ったシミュレーションを元にしていて、資産が残る可能性はは恐慌や戦争、自然災害などあらゆる事が想定されているので非常に信頼性が高くなっています。
このシミュレーションは債券50%を組み込まないといけないので、定年に近づくにつれ債券の比重が上がる様にリバランスする事が大切です。
まとめ
老年期には新しい投資資金を捻出するのが難しく、人生の終わりまで道筋が見えてきているので、わざわざリスクの高い株へ投資するのではなく年金の繰り下げ受給を行うのが良い方法だと思います。
投資を継続していくにしても、現金比率を上げていき必要に応じて債券やゴールドなどリスクの低い資産を組み込んでいきましょう。