今回はPortfolio Visualizerというソフトを使って、債券比率を変えた時のリターンやシャープレシオを調べてみました。
シャープレシオについて
ここで後で出てくるシャープレシオについて簡単に解説します。シャープレシオは運用効率を測る指標で以下の式で求められます。
無リスク資産の収益率とは国債などリスクゼロでも得られるリターンを表し、標準偏差とはリスクの大きさ(資産の値動きの大きさ)を表しています。
つまりシャープレシオを計算する事で1標準偏差あたりの安全資産に対する超過リターンを求める事ができ、その資産のリスクに見合うリターンを上げられているかが分かります。
言葉で見ても分かりにくいので具体的な例を見てみましょう。ここに以下の様な2つの資産があるとします。
資産A:利回り7%で標準偏差が5%
資産B:利回り10%で標準偏差が20%
ここで、無リスク資産の利回りが2%とするとそれぞれのシャープレシオは以下の様になります。
資産A:(7−2)÷5=1
資産B:(10–2)÷20=0.4
このようになるので利回りは資産Bの方が高いですが、投資効率は資産Aの方が高い事が分かります。
それではこのシャープレシオを使って本題の実験を行なっていきましょう。
債券比率の実験
今回はS&P500への連動を目指すETFのVOOと米国総合債券ETFのAGGを使った実験を行いました。以下はそのルールです。
- 投資期間は2004年から2021年
- 10,000$をVOOとAGGに割合を変えて投資していきリターンとシャープレシオを計測する。
実験の結果
まずは債券比率を上げていった時のトータルリターンの動きを見ていきましょう。
グラフを見て分かるように債券の割合を増やせば増やすほど、リターンが悪くなる事が分かります。
続いてシャープレシオです。
こちらは債券比率を80%にした時が最大で、それより債券の比率を上げると逆に投資効率が悪くなる事が分かります。
これらの事からリターンを追い求めるなら株式に集中投資するのが最適で、最大限に手堅い運用をしたい時でも債券比率を8割までに抑えるべきだという事が分かりました。
まとめ
実験の結果を見ると資産形成段階において債券の必要性が感じにくいかもしれませんが、リスクを多く取ってリターンを求め無くて良い人は最低限のリスクで必要なリターンを得る選択肢も出てきます。
結局どのようなポートフォリオを作るかは、各投資家の投資の目的やリスク許容度によりますが、今回分かったように国債への集中投資のような効率の悪い投資は避けていきたいですね。