※この記事では昆虫食に関する話題が含まれます。
最近は「余計なものは入れない」事でお馴染みの製パン大手の会社がコオロギを粉末状にしたものを練り込んだ商品を発売したり、給食でコオロギ食材が提供された例があるなど昆虫食の市場は日々拡大しています。
ただ個人的に一過性のブームだと考えているので、今回は昆虫食が注目されている理由とメジャーな食材になれない理由を書いていきます。
昆虫食が注目されている理由
昆虫は家畜と比べてタンパク質1gあたりにかかる水や飼料の量が少なく、また飼育スペースも狭くて良いというのがメリットです。
また昆虫食の代表であるコオロギの場合、生まれてから出荷するまで45日程度しかかからないので、単純計算で年8回の出荷ができるというのも大きいですね。
そのため将来の食糧問題や環境負荷の低減に役立つとして注目され、2025年には1000億円規模の市場になるという試算もあります。
ただ普及するのにいくつか課題があるので、特に注目されているコオロギの課題について次から見ていきましょう。
理由①食文化がないから
日本の一部地域ではイナゴや蜂の子、蚕を食べる文化があり、郷土料理として親しまれてきました。
ただコオロギは食糧難の時代に信州の一部の地域で食用とされた以外は殆ど食べられたケースはなく、昆虫食の文化がある日本でもマイナーな存在と言えます。
こうなった要因の1つとしてイナゴなどの草食昆虫と違い、コオロギは雑食であることから動物や昆虫の死骸等を食べる事があり寄生虫や病気のリスクが高かったためと推測されます。
理由②コストが高い
食用コオロギは品質を確保するため徹底した管理の元で飼育する必要があり、飼料や水代は安くとも飼育コスト自体は高いです。
生産量が増えれば次第に安くなるかもしれませんが、ただでさえフードロスが問題になっている中あえてコオロギを食べる需要が増えるかは未知数です。
将来の食糧難に備える目的であれば畜産や農業に力を入れた方が良いので、宇宙で長期間滞在する場合など局所的なケース以外では割に合わないでしょう。
理由③健康リスクがある
コオロギの場合は近縁種のエビとカニの様な甲殻類の類似成分を持つため、甲殻類のアレルギーを持つ方は摂取を控えるべきです。
また、マイワシの様に小さな生物を多量に食べる場合は摂取するプリン体の値が高くなる傾向があり、乾燥コオロギ1匹の重さが約0.2gなのを考えると数グラムのパウダーでも相対的に多くのプリン体を取る事になりそうです。
プリン体の含有量については正規の機関が出したものが見つかりませんでしたが、逆に数字が出ないのは尿酸値が気になる方にとっては不安になりそうですね。
まとめ
昆虫食は相対的に少ないエネルギーで養殖できるため、将来の食糧問題に備える1つの回答として注目されています。
ただ、これまで食べてこなかった食品を扱う際は安全の評価や適切な製造ルートの開拓など課題が多いので、昆虫食にそこまでのリソースを注ぐべきか考えるべきでしょうね。