私たちが資産の買い増しや乗り換え、損切りを行うとき認知バイアスがかかり正常な判断ができなく事があります。
これは無意識化で起こり意識しないと気づかない厄介なものなので、今回は認知バイアスについて紹介します。
認知バイアスとは
認知バイアスとは直感やこれまでの人生で経験してきた先入観により、不合理な選択をしてしまう心理現象です。
この現象が起こると基本的な統計資料を誤読したり、実際の出来事と異なった事象を記憶してしまうので投資判断にも大きな影響を与えます。
認知バイアスにはいくつかの種類がありますが、投資を行う上で発生しやすいものを3つ紹介します。
①確証バイアス
確証バイアスとは自身の仮説や信念を検証する際、それを支持する情報だけを集めてしまう事で反証する情報を無視してしまう傾向のことを言います。
これは現在の社会で特に陥りやすいバイアスの1つで、例えばYouTubeやTwitterで情報を集めると他の人が提供している類似の情報や同調する意見が目に付くので、逆の意見やデメリットが入りにくくなります。
投資の例でいうと、NASDAQ100のレバレッジ商品のような明らかに上級者向けの商品をオススメする情報を多く見たとき、あたかもそれがオーソドックスな商品に見えてしまう事もあるかもしれません。
個人的にリスクの高い資産を否定するつもりはありませんが、投資の判断をする時はその資産が自身の投資の目的やリスク許容度に合致しているかどうか確かめたいですね。
②正常性バイアス(正常化の偏見)
正常性バイアスとは社会心理学や災害心理学などで使われる用語で、自然災害や事件など異常事態になっても正常な日常の一部と捉えてしまう現象のことを言います。
投資の世界では1929年10月に起きた世界恐慌が打って付けの例で、この年の8月上旬は市場が好況でダウ平均は過去最高値を記録しましたが、そこから調整局面に入りました。
ただ、株価は上がったり下がったりを繰り返し長期的には右肩上がりになると考えられ殆どの人が株を持ち続けましたため、結果的に10月24日から始まった暴落で大損害を被る事になりました。
現在でもインデックスファンドは長期で価格が上がっていくと考えられていますが、個別株についてはその限りでないため自身がバイアスにかかり正常だと思い込んでいないか立ち止まって考えたいですね。
③アンカリング(係留)
アンカリングとは最初に与えられた数値(アンカー)により最終的な意思決定が左右される現象で、行動経済学で研究されマーケティング手法としても有名です。
投資の世界では高値覚えという言葉がアンカリングの好例で、過去に上昇した株価水準を忘れる事ができず、もう落ち目になっているのに損切りができなくなったり有効でないナンピンに繋がる事があります。
過去の事は参考にならないと言うとチャートでテクニカル分析を行う方に怒られるかもしれませんが、投資に100%勝てる局面はなく何かしらのリスクを背負うのは絶対の事実なので、買う前に売る時のルールをしっかりと決めておくべきですね。
まとめ
投資を行い経験したり情報を手に入れるなかで何かしらのバイアスがかかり、不利益を被る事があります。
現在多くの人が信じている世界経済は長期的には成長し続けるというのも確証バイアスの結果かもしれませんが、心穏やかに投資を続けるためにこれだけは信じていきたいですね。