中国は国内では社会主義と主張しつつも実際は資本主義の経済制度を取る特殊な国ですが、景気が苦しくなった際は強権的な対策や要請を行う事があります。
今回は他の資本主義国では倫理観に問題があると取られかねない中国特有の市場介入について見ていきましょう。
①「悪意」のある空売りの禁止
2015年6月に起きた株価大暴落の時に行った対策の1つが空売り禁止令で、証券会社の取引データを確認し「悪意のある売却」と判断された場合中国当局に処罰されたケースもありました。
自由市場はトレーダーや長期投資家など様々な方が取引をし、その企業の現状や未来の成長を株価という形で表示する事も大切な役割の1つです。
なのに空売りをしただけで逮捕されるという危険があるという事実は、企業の実態と株価の推移に乖離が出る原因になり得ますし、新規の投資家を遠ざける事に繋がります。
目先の株価を支えるためとは言え、市場全体の信用を犠牲にしてしまうと長期的には
②大株主の売却禁止令
上と同じ2015年6月の大暴落の後出された対策の1つが大株主の売却禁止令で、この時は持ち株比率が5%を超える株主に対し株式売却が禁止されました。
大株主の株式の動きを抑える事でこれ以上の暴落を防ぐ狙いがあったのかもしれませんが、この売却禁止令が解かれた後大株主による大規模な売りが予想されたため、規制を少しずつ緩めるなど中国当局は対応に苦慮しました。
著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏は長期保有に対する考え方として「市場が数年閉場しても安心して持てる株を保有する」という発言が有名ですが、実際に売却ができないという状況は非常に恐ろしいものですね。
③自社株買いの推奨
最後は現在2023年に株価下落対策で奨励している自社株買いで、奨励と言う言葉が使われているものの30社以上の上場企業が自社株買いを発表しています。
自社株買いは企業の業績が良い場合などに株主還元の一環で行われる事が普通で、今回自社株買いを発表した企業も好況により行っていれば良いですが、何らかの理由で業績が悪いのに自社株買いをする企業が出れば事態の更なる悪化を招きそうですね。
まとめ
中国は非常に経済成長が活発な国だったのですがコロナ禍以降など成長に陰りが見えると、見かけの株価を維持するために他国ではあまり見られない対策が講じられる事もあります。
リターンに見合うリスクを負うのは投資の原則と言うものの、企業の業績以外の部分で注意しなければいけないリスクがある事には注意したいですね。