UNIQLOやGUを展開するアパレル大手ファーストリテイリングが従業員の大幅な給与引き上げを表明し、特に初任給が30万円に達したという事が界隈で注目を集めました。
今回は日本で初任給が殆どの会社で横並びになっている理由と、ファーストリテイリングのような会社が社会に与える影響について考えていきます。
日本の初任給について
日本の雇用慣行は「新卒一括採用」の方式をとっていて、学校を卒業したばかりの学生を大量に雇用して1から育て、年功序列で1つの会社で働いてもらうのが一般的です。
このモデルケースは雇用主・労働者双方にメリットがありましたが、バブル期に初任給の上昇率が著しく増加してしまい年功序列により既存の社員の給与を引き上げたので企業の負担が大きくなりました。
そこで1990年に当時の日経連(現経団連)が大卒の初任給が高すぎるので据え置くべきと提言し、平成3年は初任給を据え置くという空気が経営者の中で蔓延しました。
ただそこから日本経済は立ち直れなかったので、結局平成3年に据え置かれた初任給は殆ど変わらず現在に引き継がれるという最悪の結末を迎えてしまいました。
初任給が増えない弊害
こんな事を30年も続けて歪みが生まれないはずもなく、例えばグローバル企業で外国で働いていた方が日本に出向する場合給与が大幅に減る事が考えられます。
また、同じ理由で日本の優秀な人材を学卒の時点で海外に引き抜かれるという事態も容易に想像できるので、この状況が続けば他国の企業に大きく水をあけられるでしょう。
結果的に初任給を上げなかった事で全体の給与水準が下がり、人材の獲得競争に負ける事でより給料を上げられなくなります。
初任給を上げる企業が増える効果
今回のファーストリテイリングの引き上げ額でも先進国の水準から見れば低い水準かもしれませんが、これを機に今後他の企業が追随すれば良い流れが生まれます。
収益を上げた企業が適切に賃上げを行い、給与が増えた社員が支出を増やせば、また誰かの収入が増えるので理想的ですね。
失われた30年を取り戻すのは大変ですが、収益を社員に還元するという最もシンプルな方法が実は1番大切なのかもしれません。
まとめ
日本は初任給を引き上げられない状況が続いていましたが、ファーストリテイリングが賃上げを行うなど少しずつ状況が変わってきました。
実際の経済はここで考えるより複雑ですが、この調子で社会全体が変わっていき初任給30万円がニュースにならないような社会になると理想的ですね。