10月20日前後からウクライナは泥濘期入りし、地面がぬかるむ事で車両による攻撃に影響がでたり雨量によっては塹壕が浸水する可能性があり戦況に変化が現れています。
今回は泥濘期に入ったばかりの今戦場で起こっている現状と、厳寒期に移行するまでのロシア軍の戦術について考えていきます。
浸透作戦
ロシア軍はポクロフスクなど重要な都市に対し市民に紛れて少数の兵士が潜入し、ウクライナ兵や物資を運ぶ市民を闇討ちしたり数が集まってから攻撃に移行するケースもあります。
都市で作戦がこの行われる場合ロシア兵は私服を着ている場合が多くその場合は戦時国際法に違反する行為ですが、単純な砲撃や突撃では効果が薄いと見たのかこの作戦を繰り返しています。
ただ浸透作戦だけでは陣地を占領できないので、今後ポクロフスク方面でどの様に援軍を送り陣地を攻略しようとするかが注目されます。
機械化攻撃
戦車や装甲戦闘車両を使った攻撃は泥濘期には前進が難しくなるとされていますが、朝霧など視界が悪くなる条件が揃えば迎撃用のドローンの使用が難しくなる事もあり機械化攻撃も積極的に行われました。
10月に入って機械化攻撃が最も行われたのはポクロフスクの補給線を遮断するためロシア軍が作ったドブロピリャ突出部で、ウクライナ軍に包囲されているロシア兵の救出が目的でした。
これらの攻撃は結局効果がありませんでしたが、成果が期待できない時期に戦車を使ってくる余裕があるという事はロシアのリソースの豊富さを示しているので、油断していい局面はないと思いました。
今後の展開
現在は北部や南部の戦況は完全に膠着していて、動きがありそうなのは北東部ルハンスク州の一部地域と1番危機が迫っているドネツク州のポクロフスク方面です。
ポクロフスクは複数の高速道路により補給を受けられる上に東にミルノフラドという大きな都市がある守備側に有利な地域ですが、ロシア軍も他方面から戦力を引き抜いて攻撃を継続しています。
個人的には占領に向けた大規模な攻撃がない事から少なくとも今年中にポクロフスク陥落まではいかず、浸透しているロシア兵をある程度無力化できれば更なる長期戦に持ち込む事も可能だと思います。
まとめ
泥濘期であってもロシア軍の機械化攻撃は何度か確認されていますが、やはり1番の脅威は都市への浸透作戦で対処を誤ると想定より早く都市を失う危険があります。
逆にロシア経済はウクライナの長距離攻撃で削られているので時間的な余裕はなく、出血を続けながらどこまで戦争を継続するか判断に迫られています。