8月頃からウクライナによるロシアへの石油精製施設への攻撃は激しさを増していて、日に日に精製能力が落ち込んでいます。
ロシアは以前からガソリンの輸出を制限するなどして対応していましたが、最近では友好国のベラルーシからガソリン輸入量を増加させた報道もあります。
今回はロシアが原油を輸入する様になると起こりえる変化について考えていきます。
ロシアの石油精製能力
ロシアの石油精製能力の喪失割合は情報ソースによってまちまちで40%や50%という数字を出しているメディアもありますが、9月末時点で恐らく25%程度が喪失していると考えられています。
当然ロシア側も復旧工事を行っていると思われますが、損傷の程度によっては復旧に1ヶ月程度かかる上、再開の目処が立ったところでまた攻撃を受けるケースもあります。
また修理に西側の部品が必要なケースもあり、ソ連時代の技術で修理しても精製能力は完全に戻らない懸念もあります。
原油価格の見方の変化
これまでのロシアは原油を輸出していたので原油価格が上がればその分多くの外貨を入手でき、戦時下の貴重な収入源となっていました。
ただ自国の消費量も賄えないほど原油精製能力が落ち込むと、近い将来ロシアは近隣諸国から原油を輸入する必要が生まれるので原油価格の上昇は逆にロシア経済を圧迫します。
また、東側諸国の中にはロシアがこれまで誇っていた軍事力の後ろ盾と原油の供給を魅力に思っていた国もあると思いますが、それらが同時に失われたと知ればロシアと距離を取る展開も考えられます。
輸入先の問題
ロシアは西側の制裁の効果で自国のルーブルで外国と取引するのは難しく、他の国から見た時原油と交換することのできないルーブルの価値は下がるため、頼みの綱の中国ですらロシアとの取引に消極的になる可能性があります。
またロシアの原油輸入量が多くなると、米国あたりが輸入元の国に関税を引き上げると牽制する事も容易に想像でき輸入の選択肢は更に限られます。
最悪の場合輸出時に使っていた制裁逃れのタンカーを利用して輸入する自体に発展する可能性もありますが、そこまで追い込まれたのなら戦争を継続するのは難しくなっているかもしれませんね。
まとめ
石油精製能力が落ちたとはいえロシアはある程度の余裕があり、当面は石油精製施設の修理や近隣諸国からの輸入で賄えそうです。
ただウクライナからの攻撃が激しくなり復旧の目処も立たない状況が続けば経済に深刻な影響が現れ、原油の輸入先について真剣に考える日が来るかもしれませんね。