イスラエルとイランが長距離兵器の報復合戦を行い、米国が介入する姿勢を見せているため地上侵攻に発展する可能性は低いと思いますが、地域の緊張感が高まっています。
今回はイランの数少ない友好国であるロシアが受ける影響について考えていきます。
イラン製兵器の入手手段
イスラエルとイランの睨み合いが長期化した場合イランは長距離兵器を温存する必要があるので、イラン製のシャヘドドローンや場合によっては砲弾もロシアに供与されなくなる可能性があります。
シャヘドドローンに関してはロシア国内でライセンス生産を行っていますが、入手経路が限られると工場が破壊された場合影響が大きくなります。
また幅広い製品に用いられる半導体についても相当量を輸入していると考えられるので、これも入手経路が限られると兵器だけでなく一般の電子機器の生産が遅れる要因になるかもしれません。
周辺地域における影響力低下
少し前のロシアはシリアに軍事拠点を設けイランとも友好的な関係を構築していましたが、これらの国が危機に瀕している時ロシアは支援を行う事ができなかったためロシアの影響力は急激に低下していきそうです。
またベトナムが米国製兵器の購入を始めた様に、旧ソ連の中央アジアの国々も安全保障をロシアに頼る事に不信感を抱く可能性もあり、そうなればロシアの武器輸出に大きな支障が出そうです。
歴史的にも力のある国が不正義な事を繰り返した結果周辺諸国の支持を失って没落するパターンは良くある事なので、ロシアが過去の国と同じ様な末路を辿るかどうか注目ですね。
原油価格
逆にロシア有利に働きそうなのが情勢悪化による原油価格高騰で、インドや中国などに輸出する事で多くの外貨を手に入れる事が可能になります。
ちなみにウラル産原油の採算ラインは1バレル40〜50ドル程度でロシア政府の予算上の予測では1バレル70ドル程度で見積もっていると考えられるので、今後それ以上に価格が上昇すればロシアが潤う事になります。
これは西側から見ると厳しいので影の船団と呼ばれる制裁逃れのタンカーを取り締まったり、長距離攻撃で石油精製施設を攻撃するなど対応が求められそうですね。
まとめ
イスラエルとイランの小競り合いにより国際社会が注目するなか、ロシアがイランに目立った支援をしなければイランの信頼を失い場合によっては旧ソ連地域の国々に影響を与える可能性もあります。
ただ情勢悪化による収入増によりロシアの戦力が増強される恐れもあるので、その面では西側諸国とウクライナはより大変な戦いを強いられるかもしれないですね。