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クモの巣作戦の影響を考える

ウクライナ軍は6月1日にロシア国内でドローンによる特殊攻撃(クモの巣作戦)を行い、多数の戦略爆撃機や早期警戒機を破壊する戦果を挙げました。

 

この作戦の内容が明らかになるにつれロシアに様々な悪影響が出ると考えられるので、今回はロシアに待ち受ける困難について見ていきます。

クモの巣作戦について

ウクライナは1年6ヶ月以上をかけてロシア4州にドローンを秘密裏に運び入れ、普段はトラックや倉庫の中にある木製コンテナに収納しておきました。

 

そして作戦決行される6月1日になると同じタイミングでトラックを空軍基地の近くに移動させ、遠隔操作により一斉に目標に攻撃を行いました。

 

攻撃に参加した117機のドローンはクアッドコプターと呼ばれる1機あたり4万円程の安価なものでしたが、破壊されたロシアの航空機は米国の発表で損傷20機、そのうち破壊10機で被害総額は数千億〜1兆円程度と推定されています。

トラックについて

ドローンはトラックから飛び立った事は映像などから明らかになりましたが、積荷を全て調べるには時間がかかり実際に一部中国との国境で検問による渋滞が確認されています。

 

もしロシアが全ての貨物トラックの積荷を検査する様な仕組みができれば流通に大きな影響がでますし、例えば部品だけを持ち込みロシア国内で組み立てるプランも考えられます。

 

よってこのトラックを攻撃対象に近づける攻撃は非常に有効的で、状況次第では石油精製施設の煙突や軍事物資を運搬する貨車への攻撃など様々な事が考えられます。

安全圏の消失

これまでロシアに向けミサイルやドローンを使った攻撃を行ってきましたが、ミサイル攻撃は米ATACMSで射程300km、独タウルス(KEPD350)で射程500km程でロシア東部地域への攻撃には大型のドローンが必要でした。

 

ただ今回極東のアムール州も攻撃対象になっていた事からもわかる様に、目標の近くにトラックを配置できればいつでも攻撃できるため、事実上ロシア国内で安全な基地は無くなった事になります。

 

更に偽情報を流す事で航空機を避難させたり、囮のトラックを配置して付近の警戒度を高めるなど、研究が進めば更に応用した作戦を立てられそうです。

戦況に与える影響

ウクライナの前線ではロシア軍が地上攻撃の前に空からサーモバリック爆弾や滑空爆弾を投射するケースがありますが、航空機を先に叩いておく事で空からの攻撃を緩和する事ができます。

 

また西側が大黒柱と呼んでいる早期警戒管制機(A-50)も撃破しているので、ロシア領空の防御が手薄になり一機あたりの出撃回数が増えるので故障のリスクを高める事ができます。

 

また戦略爆撃機や早期警戒機は現在ロシア国内で製造していないと思われますので、もし今後クモの巣作戦を複数回行い撃破数が減ってもロシアに相当な悪影響が出るのは間違いありません。

まとめ

クモの巣作戦は特殊な作戦ゆえ何回も行えるものではありませんが、作戦が存在するというだけでロシアの流通を滞らせ、極東地域でも緊張感のある防衛を強いる事ができます。

 

また安価なドローン数機で500億円もする空中警戒管制機を破壊できたという事実は軍事史に記録され、世界の軍事研究に大きな影響を与えるかもしれませんね。