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ロシアの攻勢限界説について考える

トランプ大統領が親露的とも取れる動きを見せた事で、ゼレンスキー大統領と欧州各国は場合によっては米国の支援なしでロシアを戦う必要を迫られています。

 

一方で戦況は昨年末からロシアの攻勢が激しくなったのですが、3月始め頃から勢いは落ち着き始め現在では局所的にウクライナが反撃に出る場面も増えてきているため一方的な展開にはなっていません。

 

戦争中は両陣営のプロパガンダや偽情報が飛び交っていると考えられるので細かい戦況の推移などは書きませんが、映像や西側からの情報でロシアが攻勢限界に達している可能性があるので今回はその説について考えていきます。

攻勢限界(攻撃の限界点)とは

戦争研究で非常に重要な概念がプロイセンクラウゼヴィッツが提唱した「攻撃の限界点」という言葉で、余程の好条件がある場合を除き攻撃側の優勢はある頂点を境に逓減していくという原理になります。

 

これは陸戦で攻勢をかける側が領土を獲得していくと士気が上がっていくものの、戦闘による損耗や兵站線の距離が長くなる事が理由となっていて、指揮官はこの点を見極めて作戦を展開する事が求められます。

 

日本人に馴染み深い例で言うと、日露戦争の陸戦で奉天会戦以降は北上する露軍を深追いせず勝利者のまま終戦を迎えた例が挙げられ、優勢な内に講和を結ぶ事で戦果を確定させる事ができた良い例と言えます。

①兵士の採用数と損耗数

ウクライナ軍の参謀本部は毎日相手の人員と装備の損耗数を発表していて、全てに映像があるわけではないので信憑性に不安はありますが重要な資料になります。

 

その推移を見るとロシア軍の兵士の損失数(戦死でなく戦傷数)は1日あたり1,000名を上回る水準で、ロシア軍の兵士の採用数が1日で1,000名程度とされている事から、戦場では損失数を補えているかどうか微妙な人数を補充していると予想できます。

 

また、これまでロシア軍は国内の少数民族の人材を積極的に採用していましたが若い人材の数には限りがある事から、これまで控えていた都市部での人材登用を本格化できなければ損失が補充ペースを上回る可能性もあります。

②補給線の問題

攻勢限界が訪れる大きな原因の1つが補給線の長大化で、奥地に進軍していく事で物資を運ぶ距離が伸びるため時間がかかりエネルギーコストも上昇します。

 

更に現代の戦いでは長距離兵器が登場した事で物資集積所や兵器廠、エネルギー施設が毎日の様に攻撃を受けるので、兵站計画が大きく狂う場面も考えられます。

 

また局所的な事象ですがロシア軍は一部の物資運搬にロバや馬を使っているとの報道もあり、もし今後これらの動物が使われる頻度が増えればロシアの窮状具合が増したと考える事ができそうです。

プーチン大統領の対応

プーチン氏は最初にキーウに侵攻した事から首都の制圧が当初の目標だったと考えられますが、その後目標を東部4州の制圧に切り替え、今では目標は達成したとしてトランプ氏を通じて停戦交渉に移行しようとしています。

 

単純に予想外のウクライナの抵抗により目標を下げただけかもしれませんが、個人的にはプーチン氏が今の戦況を見て攻勢限界がきているかその直前となっていて戦果を確定させたいと思っている可能性があると考えています。

 

その理由として個人的なイメージでは戦争に勝っている側は余裕がある様に見せつける事で講和会議の時に更に良い条件を引き出すと思っていたので、プーチン氏の行動に若干の違和感があると感じました。

 

今後ロシアが大規模な攻勢を仕掛けてこの説が全くの的外れになるかもしれませんが、逆にウクライナに反撃される場面が増えればこの説が補強されるので今後の展開に注目したいですね。

まとめ

ウクライナトランプ大統領が親露的な対応を続けている間は苦境に立たされる可能性もありますが、ロシア軍も疲弊しているので攻勢を仕掛けるのが難しくなっている可能性もあります。

 

この戦争の結果次第では欧米とロシアの関係だけでなく、領土的野心を持つ他の国の政策にも影響を与える可能性があるので、今後も注目していきたいですね。