12月上旬にシリアのアサド政権が崩壊し様々な勢力が入り乱れる状況となっていますが、アサド政権を支援していたロシアにとって大きな痛手となっています。
今回はシリア国内が混乱する事でロシアにどの様な悪影響が出るか考えていきます。
①アフリカへの影響力低下
ロシアは地中海に面したシリア西部のフメイミム空軍基地やタルトゥース海軍基地に戦力を駐留させていて、アフリカ諸国の政治経済や地域紛争に介入する足掛かりとしていました。
今の所は大部分の部隊が駐留したままの状態ですが、今後の展開次第では早期に国外に追いやられる可能性も高くプーチン氏の対アフリカ政策にとって大きな誤算となります。
アフリカ諸国にも多数の軍事拠点があるため当面は影響がないかもしれませんが、ウクライナとの戦争に兵員や装甲戦闘車両を多く回す必要が出てくればシリアで起こった事がアフリカ諸国でも起こりロシアの艦船が停泊できる港は段々と無くなりそうですね。
NATOもリビアなどロシアの影響力が強い国に働きかけを行っている最中なので、今後はアフリカ諸国の対応が注目されます。
②旧ソ連諸国の離反
ソ連崩壊後もロシアと多くの旧ソ連地域の国は深い関係にありましたが、潜在的に反ロシアの思想を持つ国の中にはロシアの影響力から逃れようとする国が出てきています。
代表例にウクライナの南西に位置するモルドバやロシア南部のジョージアがあり、モルドバではEU加盟を目指す大統領が11月の選挙で再選し、ジョージアでも政権は新ロシア派が取りましたが抗議運動が加熱している報道が多くされています。
当然旧ソ連の経済圏から西側に移ると経済の構造は大きく変わるものの、西側の技術力をうまく活用できれた大きな経済成長を達成できる可能性もあるので、特定の旧ソ連の国の動きには今後も注目したいですね。
③中東欧州間の輸送路が増える
シリアの情勢が今後穏便にまとまるとはあまり思えませんが、シリアの国民とイスラエル・トルコ・米国が話し合って情勢が落ち着けば中東からシリアとトルコを経由して欧州へ天然ガスや石油を運ぶルートができる可能性があります。
実現すれば現在ロシアのエネルギー資源に頼っている国も中東産に切り替える事ができ、よりロシアへの経済制裁を強化できるのでロシア経済に大きな打撃を与える事ができます。
実現には米国が輸送量増加によるメリットをトルコに示し、イスラエルの暴走を何とか抑えてもらう必要があるので、トランプ次期政権の手腕が問われそうです。
まとめ
シリアのアサド政権が崩壊しロシアの基地が使えなくなる見込みなのは良いですが、空いた土地をどの勢力が支配するか全く分からず、選択肢を間違えると新たな紛争の切っ掛けになる可能性があります。
基本的には来年以降のイスラエルの機嫌とトランプ次期大統領の手腕が試される事になると思うので、アフリカ諸国の動きも併せて注目したいですね。