ロシア政府はウクライナ侵攻以降戦時経済に突入しているうえ西側の制裁の効果もあり、国内の経済は縮小しルーブル安や急速なインフレ、そして高金利状態が続いています。
こんな状況であれば一般のロシア人も苦しいでしょうが、これから様々なことを学習し社会に出ていこうとする10代から20代の若者にとっては特に苦しいものになっています。
今回はロシアの若者の目線で見たロシアの現状について考えていきます。
①海外に出る選択肢の制限
ロシア人は制裁により西側に渡る手段がないので、留学に行ける選択肢は基本的に中国や中東、旧ソ連地域に限られます。
その中で中国はロシアと政治やビジネス面で接近すると予想されているため中国語を学ぶ旨みは大きいのですが、最先端の科学技術は米国や西欧諸国が持っている事が多いのでその面では不満が出そうです。
また中国に渡ってもルーブル安で現地での生活が難しくなったり、中国が西側の2次制裁を恐れてロシアとのビジネスを取りやめる事例が増えれば卒業後の進路先にも支障が出そうです。
②高金利による弊害
ロシアの政策金利は10月に21%となり銀行のローン金利も上昇しているので、企業も個人も借金をしてモノやサービスを買う行為が難しくなっています。
住宅ローンについては少し前まで新築や子供のいる家庭には優遇措置があったのですが、それがなくなってからは30%程度の高金利ローンを払う必要があるため、実質的に住宅は一括で買うしかなくなっています。
また借金で首が回らなくなった若者に対しロシア軍に入れば1000万ルーブル(約1400万円)までの借金を帳消しにするという法律が12月から施行されるため、それが目的で軍に入り命を落とすというケースが増えてくるかもしれませんね。
③企業の収益悪化
ロシアの学生が様々な困難を乗り越え就職に漕ぎ着けてもロシアの各企業は制裁の効果で収益が悪化し、特に国の稼ぎ頭であるエネルギー産業が大きな打撃を受けているのは苦しい状況といえます。
有名な事例としてロシア半国営の天然ガス独占企業ガスプロムが赤字になったり、比較的好調な石油産業も西側の制裁やウクライナの長距離攻撃次第で収益が落ちる可能性があり安心はできないでしょう。
また教員など公務員への給与が未払いとなっている事例が増え始めているので、安定して収入を確保できそうな業種は減少していきそうですね。
まとめ
ロシアではインフレに対抗するための金利上昇や西側の制裁による経済縮小など様々な要素が重なっているため、資産が少ない若者にとってあまりにも厳しい状況になっています。
そして若者が将来に希望を抱けず国の各産業と技術力が落ち込んでいけば、プーチン氏はロシアを取り返しのつかない衰退に追い込んだ人物として後の世界で語られるようになるかもしれませんね。