ロシアのウクライナ侵攻以降ロシア経済は徐々に弱体化し、インフレ問題やルーブルの価格の不安定さなど解決すべき課題が山積みになっています。
今回は1人の男の野心により発生したロシアの通貨が抱える問題や政策金利の調整など、ロシア中央銀行がおかれている状況について見ていきます。
インフレの状況
ロシアのインフレ率はウクライナへの侵攻当初で20%近くあり、2024年に入っても6%から8%程度と先進国の基準から見ると高い水準が続いています。
インフレの大きな要因が物資の供給減で、制裁によりこれまで欧米から輸入していたものをベラルーシの様な旧ソ連の国や中国など限られた国から輸入する必要があり、物資の種類によっては必要数を満たさない状況が続いています。
中央銀行もインフレを抑えるために2024年10月に政策金利を21%まで引き上げましたが、上記のようにインフレの要因が消費が過剰になったためでなく供給減による面が大きいので根本的な問題を解決するまでは不安定な状況が続くと思われます。
エネルギー資源の輸出縮小
ロシアの景気はエネルギー資源の価格に左右され、現大統領が就任した当初は原油価格が高く好況でしたが、原油価格が落ち込んでいる今は苦しんでいます。
戦争中は戦車や兵員輸送車に大量の軽油を持っていかれる他、ウクライナによる越境攻撃で石油精製施設や石油タンクが狙われ生産量自体も落ち込んでいると思われます。
景気刺激策として利下げを行うことも難しく、中央銀行はその場その場で1番ダメージが少なくなるよう金利をコントロールする難しさがありそうです。
戦時経済の副作用
平次より軍需産業に特化した戦時経済では戦争が終わった後に抑圧されていた民衆の消費行動が活発になったり、戦地から兵員が戻る事で激しいインフレが発生する場合があります。
第二次世界大戦後の敗戦国だった日本では戦後の4年間で物価が70倍程に上昇したほか、戦勝国だった米国でも終戦直後に20%のインフレが記録されています。
今の戦争の規模は第二次大戦と比べれば小さいですが、今後追加動員を行ったり軍事産業が活発になると戦後のインフレへの対応も大変になりそうですね。
まとめ
各国の中央銀行はインフレ率を適正に保ったり通貨の発行量をコントロールするため努力していますが、国のトップが愚かな政策を打ち出しているとその道のりは困難になります。