市場の仮説の1つに効率的市場仮説というものがあり、市場平均を上回る投資成績を出す難しさを説明する時によく用いられます。
この市場は理論の上でのみ存在しているのですが、何が実際の市場は何が違うか考えていきましょう。
効率的市場仮説とは
企業が発信する製品・サービス・経営戦略や外部環境の情報など、あらゆる情報が株式市場に織り込まれる、つまり「価格が利用可能な情報を完全に反映される市場」を効率的と呼びます。
情報の種類や強度によって定義にぶれがあるのですが、いずれにせよ投資参加者が全員同じ情報を特っていて株価が常に適正価格となれば、特定の手法を使ってある個人が他を出し抜く事は困難になります。
ただ、現実の市場では未来から見ると売られすぎていたり買われすぎている銘柄が多くあり、寧ろ企業の実力通りに買われている事は少ないように感じます。
①人によりゴールが異なるから
投資の最適解は人により異なり、投資によって利益を最大化する事を目指す人もいれば配当を重視する人もいます。
例えば1つの企業の収益が減少し指標上は大きく株価を落としそうな局面でも、配当を重視する人がその株を売らない事で株価が適正水準より高くなる事が考えられます。
同じ企業でも期待するものが異なれば投資タイミングが変わるので、様々な魅力がある企業ほど実際の企業価値との乖離が多くなるかもしれませんね。
②感情があり周りに流されるから
金融市場では恐慌時のように激しい暴落相場になる事があり、その多くは不適切な経済政策や戦争など外部環境の変化により引き起こされてきました。
ただ恐慌の時は損失を回避するための狼狽売りが更に売りを呼ぶことで、人々の不安が株価を適正な水準より押し下げる現象が発生します。
株式投資では一般的に他の多数と同じ行動をしていると儲かりにくいとされていますが、他人に合わせるという人間の本能に逆らうのは非常に難しいものです。
③期待が織り込まれるから
新鋭のグロース株など企業の業績や将来の戦略といった要素のほかに投資家の期待が織り込まれ、後になってから見たとき明らかに異常な株価推移を辿っている事があります。
これにより株価の大部分が期待により形成されるようになると、決算で良い数字が出てもより良い結果を予想していた人は失望するかもしれません。
企業の成長には時間がかかる事を考えると、株価の変動が激しい株ほど人々の期待が株価に与える影響が大きくなることに注意したいですね。
まとめ
現実の市場では人々の考え方や感情により時に適正価格から乖離した株価がつけられ、効率的でない市場が形成されています。
投資を続けていくと明らかに異常な局面に出くわす事もあると思いますが、事前に決めたルールに従い落ち着いて投資したいですね。