私たちが普段ETFを売買する中で価格の上下や分配金の推移が注目される事が多いですが、ETFには普段は軽視されがちな上場廃止になるリスクがあります。
ネット上で注目されるようなETFの場合はそこまで心配しなくて良いにせよ、あまりメジャーではないETFを買うときの判断材料になるので今回は軽めに学んでいきましょう。
ETFが上場廃止するとどうなるか
取引所が上場廃止を決定するとETFは株式と同じように整理銘柄に指定され、1ヶ月の間は取引所で売買できるのでその間ポジションを手仕舞う事ができます。
その後上場が廃止されると運用会社が指定した証券会社のみで売却ができますが、多くの場合で想定していた価格で売却できず大きな損失を被る事になります。
また、上場廃止になるケースは有価証券上場規定(https://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_201305070007001.html)
の第1112条で詳細を確認できますが、その中には金融商品取引業の登録取り消し等、一般の運用会社では起こりにくいケースもあるので次からは実際に上場廃止になる可能性が高いものを紹介します。
①トラッキングエラーが大きい場合
ETFは特定の指数と連動した運用を目指していますが全く同じ動きになる事はなく、トラッキングエラーというズレが発生します。
ただ大きなトラッキングエラーが発生し相関係数が0.9を下回った場合、1年以内に0.9以上にならない場合上場廃止されます。
トラッキングエラーは経費率の高い複雑な商品設計のETFに発生する事が多いので、マイナーなETFを購入する時は必ず確認しましょう。
②利便性の高いETFが登場した場合
ETFを運用している会社がラインナップを見直し、より利便性の高いETFを販売したい場合類似の旧ETFは上場廃止される場合があります。
例えばブラックロックが過去に提供していた「iシェアーズETF−JDRシリーズ」の10銘柄は一斉に上場廃止されていて、その後同種の資産クラスのETFが登場しています。
この場合は上位のETFに乗り換えられるので良い面もありますが、NISA等の枠が決まっている非課税制度を利用している場合は無駄になってしまいます。
③約款に重大な変更があった場合
ETFには約款と呼ばれる契約条項があり、その変更内容によっては上場廃止基準に抵触する場合があります。
例えば、恐怖指数の様な特殊な指数に連動するETFのなかには基準価格が徐々に減少していく場合があり、投資家の利益を考えて信託期間を無期限から有期に変更するケースがあります。
約款の変更に関する情報は運用している会社が出しているので、情報が出回りにくいETFを買っている方は必ず自身で確認するようにしましょう。
まとめ
ETFは手軽に分散投資を行う事ができる便利な商品ですが、価格変動や為替リスクに加え条件によっては上場廃止になる危険もあります。
特に人気のない指数に連動するファンドや運用に複雑な手間がかかるファンドは危険な場合があるので、購入後も定期的な情報収集が大切ですね。